ミャンマーの日系繊維企業 1日時点で工場は通常稼働 今後の見通し不透明

2021/02/03 06:30 更新


 国軍による軍事クーデターが起きたミャンマーでは非常事態宣言が出され、日本国大使館は現地に滞在する日本人に外出を控えるよう呼び掛けている。現地に進出する日系繊維企業に聞いたところ、2月1日時点では現地で運営・管理する工場は稼働している。しかし先行きは不透明だ。また電話やインターネットが通じにくい状況で情報収集が困難なため的確な指示が出しにくい状態にある。現地で情報誌を発行している日系企業のミャンマー・ジャポンによると1日夕方時点で一般人を巻き込む動きは見られないという。

 ワコールホールディングスは、15年春にティラワ工業団地に縫製工場を設立。タイワコールをはじめとするアジア向け中心に商品供給している。日本人駐在員1人の安全を確認し、工場も1日は通常通り稼働した。通信環境が不安定だが、引き続き情報収集に努めている。

 紳士、婦人向けのスーツ、ジャケット製造卸のジャストでは、工場は1日時点で通常稼働しており影響はない。工員の無事も確認した。岐阜武も1日は工場は通常稼働したが、「明日以降どうなっていくかは未知数。問題が生じた場合、対策を考える必要がある」という。

 婦人服製造卸の万兵は、ヤンゴン周辺で三つほどの協力縫製工場を活用。2月以降生産については「しばらくストップする」と見ている。「状況は流動的。いつ鎮静化するか分からず、生産しても商品を船積みできるかも未定」とし、今後生産する商品については、中国に振り替えて対応。同社はジャケットやダウンウェア、ブラウスなど布帛アイテムを中心に年産40万枚の実績がある。

 ヤンゴンに駐在員事務所を置く三菱商事ファッションは、安全確認ができるまで従業員は自宅待機し、工場などとはリモートでやりとりする予定。事業への影響については、「カントリーリスクによる発注減の影響は想定されるものの、輸出入の手続きを含む物流が回復し、工場他が通常通り運営、また事務所活動に制約がなければ実業には影響がないと考えている」。現地法人を持つ豊田通商は、従業員の在宅勤務を実施している。

 日新運輸は1日、ヤンゴンのニッシンミャンマーの本社従業員は出勤したが物流加工センターは様子を見るため閉めた。しかし2日以降は、「(税関、銀行などが)通常に近い状況に戻ることが予想され、センターは再開する予定」。本社も基本的に出勤するが在宅勤務も認める。日新運輸によると、1、2日は操業を停止する日系工場もあり、事務所も在宅勤務に切り替える企業が多い。中国、韓国系の縫製工場、検品工場は基本的に操業を続けているという。

 日新運輸やヤンゴンに拠点を持つ日系繊維企業の駐在員によると、ヤンゴンでの生活に大きな変化は出ていないもよう。1日時点では、空港と幹線道路は閉鎖、港湾は荷役継続もインターネットが使えず通関手続きができない。税関は稼働しているが銀行は閉鎖され納税手続きができない。しかし徐々に通常状態に戻ることが予想される。



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