《私のビジネス日記帳》葛藤から融合、そして独自性へ 文化ファッション大学院大学学長 櫛下町伸一

2026/08/05 06:26 更新NEW!


 創設期の「走りながら考える」日々を経て、本大学院は「緻密(ちみつ)な構想」へと舵(かじ)を切りました。厳しい時期も修了基準を緩めず、教育の質を守り抜いてきたのです。

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 教育の在り方を模索するなか、欧州の教育機関や展示会を訪ねて痛感したのは、私たちが培ってきた「クリエイション(感性や技術)」だけでは、世界で評価されるには十分ではないという現実でした。最前線で問われるのは、常識を覆す構想力や発想力と、社会へ実装する「マネジメント」(経営)の力です。技術を磨く一方で、個人の哲学や視点を育む教育がおろそかになってはいないか…。その葛藤と向き合い、クリエイションとマネジメントを融合させ、構想を形にする力を備えた人材を育てるため、専門分野を越えて学び合う環境を築いてきました。

 私は、ファッションほど多様な知が交差する学問はないと考えています。本大学院の役割は、国籍や価値観の異なる学生が学び合い、新たな価値を創造する場となることです。創造と経営の緊張感を体感し、自ら考え抜く力を養うことこそ、実践教育の本質だと信じています。

 今、日本のアパレル産業は国際競争力の低下に直面しています。だからこそ、「緻密な構想」の先に、予定調和を打ち破る「独自性」が生まれると信じています。既成概念にとらわれず、世界に新たな価値を創造するクリエイターや経営者が、一人でも多く育つことを願っています。

(文化ファッション大学院大学学長、文化出版局局長 櫛下町伸一)

 「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。

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