2010年ごろまでは雑誌の全盛で、媒体に取り上げてもらえばいい時代。お客さんは今ほど情報を持っていなかったからです。「これ行けるんじゃない」って感覚で店に出したら、数カ月後で売り上げになりました。
スタージョイナスを経営しつつ、震災のあった11年の秋から、取引先のビーズインターナショナルに約3年お世話になりました。もう少し幅広く勉強しようと企画や物作りをさせてもらいました。地方のリテーラーですから、学びは多かった。
その時代に大きな壁にぶつかります。その頃から雑誌ではなく、ネットの時代に移行したからです。感覚だけじゃなく、考える必要が出てきた。「やっぱり雑誌は必要」「インスタグラムをどうする」などPRチームも悩んでいました。詳しい友人に教わって何とか理解できました。セッションとかCVR(獲得率)などの指標管理は今ほど厳密ではなかったのですが、当時みていた「ミルクフェド」の売上高は2年で約5倍になりました。
データは毎日更新されるので会議も月次じゃなくて週次に。週次で行動を変えるのは大変ですし、コロコロ意見が変わるのを「男らしくない」なんて言われましたが、ウェブの世界は新しいデータが出たらすぐにアクションに移さないと意味がありません。寒いと思っていても、次の週に暖かかったら対応を変えないと。最初は戸惑い、構えていたスタッフも一緒の会議で、どんどん理解が深まりました。ファッションはストリートでも、頭の中はすっかりデータドリブンです。
(スタージョイナス社長)
◇
「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。