リバティ展に見る装いの変遷(若月美奈)

2015/10/15 16:30 更新


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リバティといえば何を思い浮かべますか?


  

 

一般的には、リバティプリントとして知られる小花柄をはじめとするオリジナルのファブリックだろうか。

ロンドンを訪れたことがある人なら、チューダー様式の建物が印象的な百貨店かもしれない。日本人の感覚からすると、食料品売り場もないリバティは百貨店というよりは大型ファッション店のイメージ。

2階、3階のレディス売り場は英国のデザイナーブランドが充実し、「ポール・スミス」や「マーガレット・ハウエル」をはじめとする大御所から、「クリストファー・ケイン」、「ロクサンダ」、「ピーター・ピロット」などの新進ブランドが揃っている。

「テータム・ジョーンズ」のように無名の頃からこの店が買い付け、それをバネに成長し、2016年インターナショナル・ウールマーク・プライズのファイナリストに選ばれた新人ブランドもある。そういえば、日本でも人気の「マザー・オブ・パール」も、最初に扱ったのはリバティだった。

もっとも、リバティのはじまりはテキスタイルメーカーでも婦人服店でもない。

歴史はアーサー・ラセンビイ・リバティが1975年にリージェントストリートにオープンした東洋から輸入した室内装飾品、ファブリック、美術品を販売する店に遡る。その中心となっていたのが日本。そう、リバティは日本の装飾品やファブリックとともに誕生したのである。

その後1884年には服飾部門も開設。様々な著名デザイナーと関わりながら、アーティスティックな装いをリードすることになる。同時期にオリジナルのプリント地の販売をはじめ、「リバティプリント」の名で広く知られるようになり、今日に至る。

前置きが長くなったが、今年140年を迎えたリバティのファッションとテキスタイルに焦点をあてた展覧会「リバティ・イン・ファッション」が、ロンドンのファッション&テキスタイル博物館。ではじまった。

100周年を記念して1975年にヴィクトリア&アルバート博物館で開催された「リバティ展」をはじめ、これまでもいくつかの展覧会が催されているが、インテリアやファブリックが中心で、「ファッション」に焦点をあてたものは今回がはじめてだという。

見所はやはり、リバティプリントのドレスの変遷だ。常に新柄を発表して進化しているプリント柄だが、基本となるのはアールヌーボースタイルを基調としたフローラルと小花柄。時系列に並んだ展覧会では、その独特のスタイルが、時代のトレンドを取り入れて変化している様子が明確にわかる。

この展覧会はリバティの足跡を紹介するものなのだが、それ以上にリバティを通じて1920年代から現在までのファッションの変遷を見ることができる。

さて、では実際にどんな展示なのかを写真で追ってみたい。


  


会場には入ると、まずはドーンとオリエンタルな展示に面食らう。 1920〜30年代のものだが、左の4点はすべて「キモノ」と名付けられている。

左の2点はすんなり納得するが、3点目のピンクのドレスは日本人の目にはどうにも「キモノ」には見えない。実はこれ、ポール・ポワレのデザインである。リバティは1932年から34年までポワレをデザイナーに起用し、4つのコレクションを発表している。このシルクのドレスは1933年の作品だ。

続いて、服飾部門が誕生した当初の「アーティスティク・ドレッシング」と題した作品群や、スモッキングウエアの一連が登場する。1910年代にリバティは当時廃れていたスモッキングを復活させ、とりわけ子供服に広く用いられるようになったそうだ。下の写真は1920年代のもの。

 

 

 

そしていよいよ見所のリバティプリントを使ったドレスの数々へ。これは続けて見ていただきたい。

 ■1920-30年代

 
「ファブリック・オブ・ファッション」


■1950年代

 
「アールヌーボー・リバイバル」


■1960年代

 
「スウィンギング・リバティ」。中央奥のグリーンのワンピースはマリー・クワントのもの


■1970年代

 
「セブンディーズ・ノスタルジア」


シルエットやディテールも時代を反映しているが、なんといっても配色。同じようなフローラル柄でも、色使いによってイメージががらりと変わる。

こうして並べてみると1970年代が一番お洒落に感じるのは、今現在のトレンドが70年代リバイバルだからだろう。それにしても、「これは××ブランド、こちらは〇〇ブランドの今秋冬コレクションのよう」といった具合に、なんともデジャブな服がたくさん並んでいる。

そして展示は1990年代から本格化したデザイナーブランドとのコラボレーションに移る。「クレメンツ・リベイロ」が手掛けていた「キャシャレル」、「アナ・スイ」、「ヴィヴィアン・ウエストウッド」、「ジミー・チュー・クチュール」などなど。


  
ジミー・チューによるハイヒール

 

最後のコーナーは「リバティ・トゥデイ」。今秋冬の服やプリント地が展示されたコーナーで締めくくるというわけだ。


  

 

といってもこのコーナー、なんだかぐるりと回って元に戻ってしまったような錯覚に陥る。この秋冬のレトロ趣向は、1970年はもちろん、その当時にリバイバルしたアールヌーボーやアールデコまで、時計の針をぐるぐると逆回さていることをあらためて実感する。

2016年2月28日までの開催。



あっと気がつけば、ロンドン在住が人生の半分を超してしまった。もっとも、まだ知らなかった昔ながらの英国、突如登場した新しい英国との出会いに、驚きや共感、失望を繰り返す日々は20ウン年前の来英時と変らない。そんな新米気分の発見をランダムに紹介します。繊研新聞ロンドン通信員

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