【軌跡】空気の力でオンリーワンの糸を 村田機械「ボルテックス」㊥

2023/01/23 12:30 更新有料会員限定


アパレルへの営業で用途開拓

 長年培った空気制御技術を使い、12年という長い開発期間を経て97年に発表された「ボルテックス」精紡機「MVS」(ムラタボルテックススピナー)。1分間に最高350メートルという高い生産性に加え、粗紡、精紡、糸の巻き取りが一度にできる工程の効率化に貢献。でき上がる糸は、空気の力で糸をらせん状に紡ぐという独自の糸構造によって表面の毛羽が少ない糸に仕上がり、高い抗ピリング性や吸湿速乾性を発揮する。現在ではインナーからカジュアル、スポーツ、寝装に至るまで幅広い用途で使われているが、発表当初、機械はさほど売れなかったという。良い製品を作ったとしても市場に広まらない――こうした状況をいかにして乗り越えていったのか。

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■ユーザーが見いだす

 「さほど売れていない機械を任され、最初は参りましたよ」。こう語るのは現在、村田機械の執行役員大阪支社長で繊維機械事業部の営業統括部長も務める野村貫則。99年にプロダクトマネージャーに就任し、MVSの営業を任された。「当時の営業は、原料やアパレルといったことをよく知らずに営業しており、粗紡から紡績工程が一度にできるという生産性のメリットばかりをアピールしていました」と振り返る。

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