ファッション向け真鍮金具メーカーの上白石 砂型鋳造ならではの質感打ち出す

2024/03/13 13:00 更新有料会員限定


熟練した職人の技術が不可欠な砂型づくり

 上白石(東京、上白石守社長)は日本の数少ないファッション向け真鍮(しんちゅう)金具メーカーとして堅実に販売を伸ばしている。よりアーティスティックな商品開発に力を入れ、上質なファッションへの採用を広げるために発信を強めている。

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 同社は真鍮鋳物金具を企画販売するファブレスメーカーだ。真鍮職人、真鍮鋳物工場をディレクションすることで真鍮金具を生産している。日本の真鍮は仏具用を主力に産業として継承し続けており、仏具から派生して住宅、家具などに広がってきた。真鍮は銅に亜鉛を合わせた銅合金で、砂型に金属を溶かして成型して作るが、日本では高度経済成長期に大量生産できる、金型に金属を溶かして流し入れて製造する鋳造法であるダイキャストによる各種合金の金具生産が浸透し、真鍮は脇に押しやられていった。欧州でも中国など生産を欧州域外に移転し、真鍮からダイキャストによる金具にシフトする中で、欧州の真鍮産業も廃れ、中国でも砂型による真鍮金具の生産は非常に少ないのが実情だ。バブル期のころまでにファッションでも真鍮金具の採用はかなり減っていた。

90年代に真鍮に特化

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