〝フィジタル〟でモーダ・イタリア展&シューズ・フロム・イタリー展  「イタリアのハピネスを売る」

2021/02/10 06:28 更新


 どんな形でも合同展示会が存続していることを大事にしたい――2月10日まで東京・渋谷で開催中の21~22年秋冬向けモーダ・イタリア展とシューズ・フロム・イタリー展。来場したジョルジョ・スタラーチェ駐日イタリア大使は、フィジカル(リアル)とデジタルを融合した〝フィジタル〟展示会の強みと、対日輸出で「ハピネスを売る」考えを強調した。

(須田渉美)

イタリア製品が好き

 20年の貿易に関しては「コロナ禍で世界的に難しい経済状況となり、特にファッション産業は大きな影響を受けた。対日輸出も、ファッション製品は前年比で20%近く減少、革靴は25%減った」。一方で「日本人はイタリア製品が好きという気持ちは変わらず、輸出の減少も比較的悪くはないと感じている。例えば、食品はレストラン向けの高級食材は減少したが、家庭用の食材の需要が増えて全体では落ちなかった」という。「今が一番大変な時で、これから徐々に落ち着いていくのではないか」と見て、「コロナ後には、今まで以上に美しいものを購入したいと消費が戻ってくるはず。イタリアはハピネスを売っています! と日本の方の期待に応えていきたい」と話す。

 ICE(イタリア貿易促進機構)ローマ本部では、モーダ・イタリア展とシューズ・フロム・イタリー展の専用プラットフォームも立ち上げた。これらによって「直接メーカーにコンタクトを取れて会期が終わっても使えるので、フォローアップが可能だ。コロナ禍がもたらした成果でもあるが、新しいマーケティング技術として役立つものになった」。

徐々にEPA効果も

 とりわけ3月に予定されていたミラノでの国際見本市が中止となるなか、「東京の展示会場では現地から送られてきた製品を実際に見ながら、16時以降はオンラインで伊企業に質問もできる。こうしたフィジタル形式のメリットとして、イタリアの中小企業にとっては、出張コストが抑えられて興味深いシステムになっている」。昨年、ワイン関連の展示商談会で同様のフィジタル形式を試みた際は、「日・EUのEPA(経済連携協定)の効果もあって良い結果を得られた」という。

 ファッション製品も「EPAの効果が徐々に期待できるだろう」。今後の貿易促進に向け、「日本もイタリアも消費は成熟している。製品の取引だけでなく、イタリアらしい生き方、文化的なこと、様々な価値をプロモーションしていきたい。今年の夏が終わったころに実行に移していければ。すでに科学や技術に関しては、ウェビナーで専門家による交流が進行している」。

ジョルジョ・スタラーチェ駐日イタリア大使


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