三越伊勢丹HD 営業利益350億円の目標を前倒し

2018/05/11 04:30 更新


 三越伊勢丹ホールディングス(HD)は中期計画で掲げていた営業利益350億円の達成目標を19年度に1年前倒しした。杉江俊彦社長は「不採算店舗、事業の処理がほぼ終了し、積み残しの課題は18年度中にめどをつける。構造改革は想定より早く進んでいる」と強調。経費削減による増益効果が加速する見通しだ。

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 17年度に実施した伊勢丹松戸店、中小型店「エムアイプラザ」などの店舗閉鎖やマミーナの清算、「クイーンズ伊勢丹」の運営会社株式の過半を売却した事業撤退に関わる損失がなくなるほか、退職金を積み増した早期退職制度による人件費の減少が利益を押し上げる。18年度業績は売上高が5.8%減の1兆1950億円となるが、営業利益は18.8%増の290億円を計画する。

 販売・管理費は17年度に比べて、18年度が178億円、19年度が228億円の削減を見込む。08年の経営統合以降の最高益は13年度の営業利益346億円だったが「拡大路線の影響で販売・管理費が高止まりしていた」(杉江社長)と経費水準を大幅に引き下げる。収益体質の強化を最優先する考えだ。

 一方、成長戦略はデジタル化が柱となる。20年度までに200億円以上を投資し、ECをはじめとした新規デジタル事業を拡大する。今秋にスマートフォン用アプリを立ち上げるほか、新たなサービスを開発する。デジタル会員は現在の200万人から20年度の350万人に増やし、顧客との接点を拡大する。デジタルを活用した新規事業は「小さく立ち上げて早く進める。業務提携やM&Aも視野に入れる」(杉江社長)という。

 店舗は基幹店を中心に改装を実施する。伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店は19年度までに計250億円を投資し、20年度以降の収益向上に結び付ける。伊勢丹新宿本店は18年度に紳士ファッション、19年度に化粧品、時計・宝飾、雑貨の領域を中心に、三越日本橋本店は2期に分けて全館をリモデルする。

三越伊勢丹ホールデイングス 杉江俊彦社長


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