三井物産 化粧品分野に本格参入 メンズのバルクオムへ出資

2020/11/19 06:30 更新


 三井物産は化粧品市場に参入する。EC中心の男性化粧品で成長中のバルクオム(東京、野口卓也社長)の第三者割当増資を引き受けた。出資金額は非公開。出向者1人を派遣し、国内DtoC(メーカー直販)及び海外事業のマネジメントなど戦略策定、実行を担う。「中長期的には総合商社で化粧品事業領域ナンバーワンを目指す」構え。ファッション・繊維事業部で蓄積してきたアパレルブランド・リテール事業のノウハウを生かす。

(北川民夫)

 「バルクオム」は国内のミレニアル世代を中心とした顧客を持つコスメブランド。アジア市場でも日本のコスメが注目されるなか、三井物産のネットワークを活用し、素材調達から物流、販売まで一貫した体制を整える。

 バルクオムの設立は17年。生産元は体に害のある成分を含まない天然原料の化粧品OEM(相手先ブランドによる生産)を得意とするサティス製薬。商品はスキンケアやヘアケア、ボディーケアで15SKU(在庫最小管理単位)。サブスクリプション(定期購入)型ECを主力に、売上高に占めるEC比率は80%で、自社ECが70%。実店舗網も拡大し、大手ドラッグストアや美容サロン、バラエティーショップなど約1200店(5月時点)で販売している。

 コロナ禍で苦戦する企業が多いなか、バルクオムは20年9月期の売上高が前期の2倍となった。好調の要因は①定期購入顧客からの根強い支持②ユーチューブなどを活用したデジタルマーケティングの推進③タレントの木村拓哉を起用したテレビCMによる新規顧客の流入など。

 三井物産は10月から中国での販売を本格化した。「海外パートナーへヒアリングするなかで、アジアを中心としたメンズコスメ市場の成長性とバルクオムの先進的なブランドイメージに対する引き合いの強さを実感した。海外とデジタルの二つの勝ち筋を共に描けると判断し、出資を決めた」という。

 海外での販売拡大を目指し、①タイや米国、ドイツなど新規の国での販売代理店の紹介。既存の仕向け先での小売業者の紹介②日本のアパレル系実店舗へ開拓支援③ブランド協業の製品開発などを計画している。

 利益改善では①海外輸送での物流支援②国内物流の拡張性の向上③SDGs(持続可能な開発目標)対応支援④グローバルR&D(現地サプライチェーン強化・現地製造)などを行う。

 バルクオムは中国のほか、台湾やロシア、ノルウェー、英国、フランス、イタリア、シンガポールで販売している。今後は米やタイ、インドネシア、東欧、CIS(独立国家共同体)へ進出する計画。

 三井物産は化粧品関連の事業について、「今後も第2弾、3弾を準備している。本格的な進出によって化粧品業界のインサイダーとしてのポジションを確保する」としている。

天然原料を使用したジャパンコスメブランドが海外から注目されている


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