【ミラノ=小笠原拓郎】25~26年秋冬ミラノ・メンズファッションウィークは、ここ数年で最もショーでの発表が少なくなった。メンズでの発表を見送り、ウィメンズの時期に統合したショーを計画するブランドが相次いだためだ。その中でミラノ・メンズの伝統を守る実力派ブランドと、新たに参加してきた若手のコレクションに注目が集まる。
ミラノの幕開けとなったショーは、前シーズン、フィレンツェのピッティ・イマージネ・ウオモの招待デザイナーだったピエール・ルイ・マシアだ。テキスタイルのバリエーションに強みがあるブランドとして、この秋冬もたくさんの色と柄で見せた。バルキーなケープレットやスタッズ飾りのシャツ、シルクストール、工芸品のような装飾が特徴のコレクション。ナンバーリングのトップやベースボールキャップの一方で、伝統的なオフィサージャケットまでの幅広いアイテムが揃う。小さなろうそくを手に持って歩く演出で、マシアの繊細なイメージを強調した。決して量産して大きなマーケットを作れるブランドではないが、この工芸品のような物作りもまた、今の時代を象徴するのかもしれない。
ドルチェ&ガッバーナのショー会場にはレッドカーペットがしつらえられている。黒いテーラードスーツにブラックタイをしたモデルたちがカメラマンとなって、登場してくるモデルにフラッシュを浴びせるという設定。ブラックスーツの端正なカメラマンの一方で、レッドカーペットを歩くモデルたちはラグジュアリーなカジュアルスタイルがメインとなる。