ミラノ・デザインウィークへのファッションブランドの参加は回を追うごとに盛んとなっている。職人技にフォーカスしたり、歴史的な家具ピースの限定版を製作したりとそれぞれが工夫を凝らしている。
(ミラノ=高橋恵通信員)
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「エルメス」は、匠の技によって作られ普遍の美しさをもつ過去のオブジェを新作と並べて見せる展示が興味深い。「ディアパゾン・ドゥ・エルメス」は、レザーとつち目仕上げのアルミニウムによるエレガントなフォルムの新作ラウンジチェアだ。つち目仕上げのシルバーチョーカー「ティムール」(02年)と共に展示された。
馬具工房としてのアイデンティティーを色濃く反映し、ランジング用の手綱、短鞭(むち)、競技用ポールなどを着想源とした新作ランプコレクション「ヴォルティージュ・ドゥ・エルメス」は、80年代の狩猟用鞭と並べて展示。50年代のカラフルなシルク製ジョッキージャージーから着想したベッドカバー「タータンダイ」は手紡ぎ、手織りのカシミヤ製。オートクチュールに用いる折り染めの技法が使われている。「卓越した美しさと職人技を一つに」というブランド精神の原点にフォーカスしたコレクションだった。
「セラピアン」は国際的なデザイナーと職人がタッグを組んで作品を作り上げるプロジェクト「ドッピア・フィルマ」展を開いた。職人はガラス、木工、銀細工、ステンドグラスなど様々な分野にわたる。セラピアンの職人もプロジェクトに参画し、ミラノの建築家兼デザイナーのクリスティーナ・チェレスティーノがデザインしたソファを独自のメッシュ編み技術で製作した。