世界的な高級子供服路線にかじを切った三起商行。富裕層向け「ミキハウスゴールドレーベル」を昨夏立ち上げ、主力の「ミキハウス」も価格を平均1.8倍に上げた。社長の木村皓一さんは「10年言い続けたことがやっと形になった」と年月をかみしめる。その裏に企画・MDを率いる執行役員の河原悠一郎さんの葛藤があった。「値上げしても売れるのか」。意義は分かっていたが、踏み出せなかった。
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インバウンドで確信
エントリー層獲得のため価格戦略品を販売するのは常套(じょうとう)手段。同社もシーズンごとに企画していた。トレーナーは何としても1万円未満で売りたい。デザインをそぎ落とし、遊び心を失った商品が店に並んだ。
木村さんからも販売員からも「中途半端なものはいらない」と言われ続けた。木村さんが繰り返したのは「日本の物作りを生かした商品を、価値に見合った値段で売ること」。しかし、量を売らないと工場も維持できない。河原さんは、そのトレードオフでずっと悩んでいた。
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