百貨店の紳士服フロアではシャツやネクタイ、革小物など従来型の単品平場が消滅しつつある。平場が残っていたとしても運営窓口は単品専業1社に任されることが多く、以前のようなバリエーションの豊富さは維持できていない。特定のアイテムの購入を目的に来店した客にとっては利便性に欠けるはずだ。
そうした状況を補完するように、アパレルメーカーが主力ブランドでショップ以外に雑貨平場を運営する動きが出てきた。あるアパレルメーカーは自社の複数ブランドをミックスした編集型売り場で単品訴求を計画する。紳士服フロアはまさに様変わりしつつある。
こうした中で、平場を主戦場としてきた単品専業は販路開拓に乗り出している。新規で商業施設での期間限定店開催を増やすところもあれば、地方の有力個店などへ卸先を拡大するところもある。さらにはイタリアやフランスなどで開かれる合同展示会に出展、海外に活路を見いだすところも出てきた。革小物のモルフォはモータースポーツを切り口にした「ノイインテレッセ」で自動車メーカーと協業したり、自動車の見本市に出展したりと異業種へのアプローチに力を入れている。
各社が取り組むこれらの新たなファン作り。これまで未開拓だった潜在顧客にリーチできれば、販売への好影響がきっと生まれてくるだろう。