売上高が24年度に過去最高となったSCがかなり増えた。都心、郊外を問わず、2期連続、3期連続で更新したSCもある。要因の一つはインバウンドなどの新規客の増加だろう。都心部ではインバウンドの売り上げ比率が1割以上となったSCが多い。なかには3~4割を占めるところもある。
百貨店と違い、SCにはラグジュアリーブランドなど高額品は少ない。それでも比率が高まっているのはインバウンドの購買品目の幅が広がっているからだ。スポーツ・アウトドアやキャラクター、国内デザイナーブランド、眼鏡などがSCのインバウンド売上高をけん引している。
この間の改装やイベントの強化で国内新規客も増えているようだ。改装で目立つのは、幅広い客層が見込める飲食・食物販の強化やリアルの価値向上につながる体験型コンテンツの新規導入。また、広場やイベントスペースを拡大したSCも多く、多種多様なワークショップや期間限定イベントの数は、コロナ禍以前に比べて格段に増えた。
かつてのSC運営は、買い物客そのものををいかに増やすかが重点だったと思う。レストスペースなどの〝余白〟は少なく、売り上げ効率重視でテナントを詰め込んだ。だが今は買い物以外の価値提供に力を入れている。一見すると遠回りかもしれないが、それが結果に結びついている。