《めてみみ》今年の経営リスク

2025/02/03 06:24 更新NEW!


 「掘って掘って掘りまくれ」。一人の人物の発言にこれほど世界が注目することもないのではないか。第47代アメリカ合衆国大統領に就任したトランプ氏のことだ。掘りまくれとはもちろん石油や天然ガスといった化石燃料のこと。

 「脱炭素」「カーボンニュートラル」は人類共通の課題だったはずだが、歴史の歯車が突然逆回転を始めたかのようだ。就任してすぐ大統領令に署名し、気候変動の取り組みを定めたパリ協定からの離脱を決めた。

 「辞書の中で最も美しい言葉は『関税』」。これもトランプ氏の発言だ。関税で自国民の負担も増えかねないが、早速隣国のメキシコとカナダに対して25%の関税措置を発表した。関税障壁のない自由貿易体制を一つの理想として世界が目指してきたはずだと思っていたが、いとも簡単に崩れ去った。

 新年インタビューで大手素材メーカーの経営トップに取材したが、トランプ氏の政策変更を今年の大きな経営リスクと捉える声は多い。

 米国では近年、気候変動の影響でハリケーン発生の頻度が増し、大型化もしている。ロサンゼルスの山火事も気候変動との関連が指摘される。ディール(取引)が好きな大統領だそうだが、自然相手にも取引をするのだろうか。

 「最後は賢明な判断をしてくれると思っている」――経営トップらの祈るような予測が外れないことを願う。



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