ジェトロ(日本貿易振興機構)が日系企業に対して行った調査によると、中国の製造業一般工の基本月給(平均値)は13年の375ドルから23年には1.5倍の576ドルに高まった。
縫製大手のマツオカコーポレーションは、中国から東南アジアなどへの生産シフトを急速に進めている。18年度時点では中国生産が全体の6割(売り上げベース)を占めていたが23年度には36%にまで減少。ベトナムやバングラデシュで新工場を立ち上げるなど積極策が奏功、特にベトナムでの生産が大きく伸び、堅調な業績が続く。東南アジアなどへのシフトは中国での人件費の高まりに加え、工員確保の難しさもある。
一方、自動化に力を入れる企業もある。中国・寧波の毛紡績コンサイニーグループだ。既存紡績工場に加えて、「紡績、染色工程、トラックへの積み込みまで全自動で行う24時間稼働の無人工場」(ボリス・シュエCEO=最高経営責任者)が稼働。無人工場のみで年間3000トンの糸を生産している。「投資額は大きかったが人件費高騰、人手不足に対応するには必要な手立て」とボリスCEO。紡績だからこそできる自動化は多いが、ここまで思い切った投資は中国ならではだ。
ビジネスに課題や困難はつきものだ。ただ、新たなビジネスモデルや成長は、解決に向けた積極的な模索の中からこそ生まれてくる。