《めてみみ》変わり目の中国EC

2024/05/29 06:24 更新


 中国で春夏最大のネット販促「618」が5月20日から始まっている。618商戦とは大手ECプラットフォームである京東の設立日・6月18日を記念した販促イベント。例年5月31日が初日だったが、今年はアリババが1週間以上前倒しして商戦の火ぶたが切られた。

 早めた理由は定かではないが、今回から在庫があれば即配送する方式に変えたという。売り手・買い手ともに簡単・便利を追求したとするが、振るわない消費を喚起する意図かと思われる。実際に開始4時間で59商品が売り上げ1億元を突破、618販促ページへの訪問数は前年の14倍に伸びたといい、勢いはあるようだ。

 ただ、販売業者からすると販売方式の変更で前年比較が難しくなり、イベントの効果を測りにくくなった。加えて、ECで利益を作るのもなかなかシビアになっている。消費者の買い場がわずか数年でライブコマースやSNSなどに分散、アリババの淘宝か天猫サイト出品に注力していれば良いわけではなくなった。

 アパレルは夏服が好調との情報が出ているが、生地販売企業に聞くと「急ぎの追加などはない」とのこと。今や販促で1品でも多く売れるより、全商品が満遍なく消化されることが大事。実際に23年度業績を見ると、利益優先でEC売り上げは落としている企業も多い。中国ECが変わり目に来ていることは確かだ。



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