《めてみみ》内外で通用する価値

2024/02/16 06:24 更新


 春節(中華圏の旧正月)が始まった。テレビでは、インバウンド(訪日外国人)の訪問先として日本各地の観光地のにぎわいぶりの報道が相次ぎ、買い物から観光へ、モノからコトに移行すると指摘している。客層の多様化とともに、需要の中身も確かに変わってきた。

 もっとも、買い物欲が減少したわけではない。日本百貨店協会による「免税売上高・来店動向」をみると、19年12月の免税総売上高299億円強に対し、23年12月は477億円強となった。化粧品、食品などの「消耗品売上高」が半減した一方で、それ以外の「一般物品売上高」が2.4倍に増えた。

 購買客数は44万人弱と変わらず、一人当たりの購買単価が約1.6倍に向上した。ラグジュアリーブランドなどの高額品購入が中心になったことがうかがえる。都心のファッションビルでも免税売上高が増え、国内外のスポーツ、ファッションブランドとともにジャパンポップカルチャーが人気だ。百貨店や商業施設に限らず、免税にならない飲食利用の貢献度も高い。

 わざわざ来るからなのだろう。買い物も、観光も、おいしい食事も。そんな需要がインバウンドの消費総額を押し上げる。買い物だけではなく、「目的地」となりえる魅力を持つコンテンツを複数提供すること。嗜好(しこう)が多様化する国内客にも通用するリアルの価値ではないか。



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