《めてみみ》効率よりもLTV

2023/10/13 06:24 更新


 軽い店装から作り込んだ店装へ。最近の新店や改装店を見ていて、そんな傾向を感じる。見た目の分かりやすさでいえば、白以外のストアカラーを採用する店が増えてきた。グリーン、くすんだブルーやイエローなどの外装はラグジュアリーブランドで目立っていたが、それ以外のブランドでも採用し始めている。

 路面店に限らず百貨店やSCでも〝カラー店舗〟は増えている。周りから浮くような色味ではないものの、まだまだ白を基調にした店装の方が圧倒的に多い中では目を引く。加えて、生活雑貨やアート作品など服や服飾雑貨以外の仕入れ商品を置く店もずいぶんと増え、店舗面積もやや拡大傾向にあるようだ。

 館の鮮度維持を目的とするブランド入れ替えが盛んだった時代は、定期借家契約の導入もあって、内装投資は抑制の方向に動いていた。投資回収期間の短期化が想定されるなら、そうなるだろう。売れる店・売れない店の指標の一つが月坪効率で効率の高さが求められた時代でもあった。

 コロナ禍を経て、リアル店舗の体験価値が重要視されるようになった。「顧客との関係性を高める応接スペースの確保も大型化の理由」。そんな話も聞く。売り場からおもてなしの場へ、月坪効率よりもLTV(顧客生涯価値)の向上へ。店の役割の変化が店装への意識を変えている。



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