沖縄の人気スポットの一つが浦添市にある港川ステイツサイドタウン。元は港川外人住宅地と呼ばれ、60年代には沖縄在住の軍人や家族が主に住んでいた場所。鉄筋コンクリート造りの2~3LDKの平屋が今も60棟ほど残り、これをカフェやショップに再利用した街だ。
その一角に、シマ・デニム・ワークスというショップがある。サトウキビの搾りかす「バガス」を活用したジーンズや様々な服飾雑貨などを販売する。バガスは世界で年間数億トンが廃棄されていると言われるが、これを資源として再利用すると同時に、沖縄のサトウキビ産業の活性化などを目指す取り組みの一つだ。
同社の動画では、バガス使いのジーンズは、まず岐阜の製紙工場で紙となり、その後で備後産地に送られて撚糸や糸染め、綿の縦糸と製織される。生地は再び沖縄県内の縫製工場に戻ったり、備後の工場で製品化されたりする流れだ。一つの製品が世に出るまでに、いかに数多くの人の技術や思いが込められることだろうか。
実はショップのある浦添市周辺は沖縄戦で最も激しい戦いが繰り広げられた。昔の話と言われるかもしれないが、今も米軍基地の存在は沖縄に暗い影を落とす。ウクライナ紛争もいまだ終わりが見えない。楽しげにショップを回る人たちを見ながら、平和な日常の大切さを改めて思う。