《めてみみ》物流の法規制

2023/02/24 06:24 更新


 政府は物流で、新たな法整備の検討を始めた。経済産業省、国土交通省、農林水産省が昨年9月に新設した有識者会議「持続可能な物流に関する検討会」での議論を受け、素案を示した。

 荷主、物流事業者に対し、納品回数の削減や輸送・発注ロットの拡大、荷積み・荷下ろしの待機時間の削減、契約条件の明確化など実行計画の策定と取り組み状況の定期的な報告を義務付ける。荷主が役員クラスを「物流管理統括者」として配置し、選任・解任の届け出も義務になる。対象は政府が指定する「一定規模」以上の「特定事業者」。荷主の百貨店など大手小売業・アパレル企業も対象になる可能性が高い。

 物流業界ではトラックドライバーの労働環境悪化と人手不足が深刻化し、その改善と生産性向上が急務だ。24年4月からは時間外労働の上限規制が適用され、労働環境改善が期待される一方、輸送能力の低下が懸念されている。こうした状況を踏まえた法規制だ。

 政府は日本百貨店協会や日本ショッピングセンター協会など業界団体のヒアリングを開始、今後の議論に反映させ「夏までに具体化したい」とする。業界からは物流問題への危機感が高まる一方、新たな法規制を疑問視する声もある。24年まで時間はないが、政府には事業者の実態を考慮した慎重な制度設計が求められる。



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