《めてみみ》新たな成長の起点「癸卯」

2023/01/23 06:24 更新


 業界団体や企業の新年会・賀詞交歓会のリアル開催が増えている。コロナ禍前は恒例行事として当たり前のように参加していたが、2年の空白期間を経て、多くの人と新年のあいさつを交わせる喜びを実感する。

 新年会では、十二支を交えたスピーチがよく聞かれる。卯(う)年の今年は「ウサギのように跳ねる年にしたい」と。長く続いた停滞を破り、跳ね上がる年にとの願いは皆が共通するところ。

 今年の干支(えと)は「癸卯(みずのとう)」。「癸」は「甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)」で始まる十干の最後に当たり、物事が終わり、新しく成長し始めるという意味がある。十二支の4番目の「卯」は温和や跳躍のイメージがある。

 歴史をさかのぼると、今年のNHK大河ドラマの主人公である徳川家康が江戸に幕府を開いた1603年が癸卯だった。1183年の癸卯は、源頼朝が朝廷から東国支配を認められた年だ。実質的に鎌倉幕府が始まった年といえる。

 直前の癸卯は1963年。国内では日本初のテレビアニメとして「鉄腕アトム」の放映が始まった。世界に通用する日本文化の一つとなったアニメーションが産声を上げた。

 さて、それから60年。今年はというと、年初の今は感染症も世界情勢も落ち着きが見通せない。経済の停滞が終息し、世界が良い方向に進み始める起点の年になることを切に願う。



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