臨時休業や行動制限のない環境下で、22年度はファッション消費の回復が目立った。コロナ下の仕入れ抑制や在庫圧縮、正価販売強化の方針により粗利益率が改善し、多くのアパレル関連企業の上期業績は増収、営業増益や赤字幅縮小となった。
下期も「ファッション小売り商況」「ファッションビル・駅ビル商況」ともに増収基調が続いている。〝通常営業〟の継続で外出機会が増えるとの見通しから、秋冬物の仕入れ枠を再び広げたところは多いだろう。11月は気温が高く重衣料が伸び悩んだが、12月は寒い日が続いている。このままの増収基調で、正価販売強化の方針も変わらないことを望みたい。
気になるのは販売スタッフが足りていないこと。飲食店の人手不足は幾度となく聞いたが、11月商戦については「全店的にスタッフ不足が深刻化しており、十分な接客ができず取りこぼしが多く起きていた印象」とあるファッションビル。一方では「一人ひとりにパーソナルなアプローチができている店舗が好調」とするところもあった。
業績の格差には、商品MDの精度だけでなく販売態勢の差が影響しているのがうかがえる。適正在庫を実現できたとしても、スタッフが足りなければ販売機会ロスを生む。正価販売消化率を高めることも難しくなるから、収益性が低下する要因ではないか。