11月は各地でファッション関連イベントが行われている。都内で開かれている「ベティ・カトルー‐イヴ・サンローラン唯一無二の女性展」は、サンローランのファッションアイコンであり続けた女性の視点を軸にした展覧会だ。エルメスは、京都で「エルメス・イン・ザ・メイキング」展を行っている。職人たちの手仕事を通じ、エルメスのクラフトマンシップに宿る創造と革新に触れられる。
両展を鑑賞して感じたのは、ブランドの伝統の持つ重みだ。かたやフランスを代表するデザイナーブランド、かたや6代続くラグジュアリーブランド。一方は創業デザイナーのアーカイブを背景に、新しい解釈を試みる。そしてもう一方は、職人たちの手仕事のもつ強みを軸に伝統を継承し発展させていく。
原料高や円安を背景に、海外ブランドの高騰は今後も続くと予想される。そこで日本の顧客に、どうブランドの価値を理解してもらうかが重要になっている。高価なのには理由がある。大規模な展覧会には、それを顧客に伝えるための役割もある。
ブランドの価値をどう伝えるか。その大切さは、海外ブランドであろうと国内ブランドであろうと同じ。大規模展だけでなく、店頭やホームページなど、様々な手段で価値を伝えること。それはブランディングにとって中心的な課題だ。