《めてみみ》前向きな兆し

2022/10/27 06:24 更新


 エネルギー価格や物価上昇など懸念材料が多いとはいえ、ファッション消費は回復しつつある。「コロナ禍前の水準に売り上げが戻ってきた」という商業施設がこの数カ月で増え、19年同期実績を上回る施設も出てきた。

 日本ショッピングセンター協会の調査によると、国内既存SCの19年同期比の売上高は8月が16.1%減で、9月は18.6%減と依然厳しい。19年同期は全盛だった訪日外国人売り上げが減少し、19年9月は翌月の消費増税を前にした駆け込み需要が活発だった反動も大きい。これらを差し引いても、全体としてはコロナ禍前の水準に戻ったとは言い切れない。

 ただし、前向きな兆しが表れたのは確かだ。今春から衣料品の売上高が19年同期実績を超えている都心の施設は「行動制限がなくなった影響もあり、おしゃれして出掛けたいというお客のマインドが高まっている」と指摘し、「セールはあまり響かない」が、「価格は多少高くても、品質やデザインなどで価値が高いと感じれば買うお客が以前に比べて増えている」という。

 コロナ下で消費者の商品を選ぶ目がますます厳しくなり、十分に吟味してから買う傾向が強まった。「選ばれる」ためにはショップと本部、商業施設が連携し、客のニーズをしっかり見極め、着用シーンを含めた価値の提案が不可欠だ。



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