政府は10月から新型コロナの水際対策をさらに緩和する方向で調整を始めた。入国者数の上限は撤廃し、自由な個人旅行も認めて短期滞在のビザを免除する。すでに9月7日から1日当たりの入国者数の上限が2万人から5万人に引き上げられている。
日本人を含む全ての入国者に求めてきた陰性証明書の提出は、3回目のワクチン接種済みを条件に免除している。観光目的の外国人の入国について、添乗員を伴わないツアーを認めていた。さらに入国者数の上限の引き上げ、外国人の受け入れ条件を緩和する。
3年ぶりに行動制限がなかった今夏は各地の観光地はにぎわった。ただ外国人観光客は限定的だった。先週末の連休中に訪れた羽田空港国際線ターミナルの到着・出発ロビーは閑散とし、人の往来は元に戻っていなかった。全国百貨店の8月免税売上高は前年比2.7倍だったが、19年比では64%減で、実質的な商況の厳しさが続く。
コロナ禍で消失したインバウンド(訪日外国人)を19年実績の3200万人へ早期に復活させて「2030年、訪日客6000万人」を改めて目指すことになる。インバウンドが経済に与える波及効果は大きことに変わりない。円安のメリットを生かすだけでなく、都心から地方へ、体験型の長期滞在など消費の質の変化を見極めないと成長は難しい。