「7月に契約更新を迎えて、電気料金が3割上がった」と、ある地方百貨店の社長。法人向けの電気料金は1年ごとに電力会社に見積もりを取った上で契約する形。燃料高、ウクライナ情勢、老朽化した火力発電所の休廃止などで供給が不足する現実に改めて驚いた。
電気料金は燃料価格水準(燃料費調整制度)により毎月変動し、その度に値上がりしていた。基本契約の法人向けプランになると、地方百貨店の経営を圧迫するほどの深刻さだ。別の地方百貨店は「電気代とガス代を合わせて年間で2500万~3000万円の光熱費の値上がり」という。
大手電力に増して深刻なのは新電力。すでに法人契約の新規受け付けの停止、打ち切りのほか倒産や廃業、撤退が相次ぐ。新電力から大手電力の乗り換えは、法人契約の値引きはおろか、「標準料金」ですら契約できずに、さらに割高の電気料金を支払うことになる。
政府は7月1日から7年ぶりに全国で節電要請をした。電力需給逼迫(ひっぱく)の恐れに加え猛暑で、「節電」や「安定供給」がにわかに参院選の論点としても浮上した。事務所の節電は以前から続けているが、店舗でも「照明の一部消灯、エスカレーターやエレベーターの一部停止に踏み切った」(前出の地方百貨店)という。節電努力はどこまで顧客の理解を得られるかが悩ましい。