23年春夏欧州メンズファッションウィークに続き、パリではオートクチュールが開かれている。本格的なファッションウィークの復活に、再会を喜ぶ場面があちこちで見られる。ショー会場内はマスク着用をするのも個人の自由に委ねられ、ほとんどがマスクを着用せずにショーを見る。
パリの街でもマスクをしている人は圧倒的に少数派だ。ミラノでは、地下鉄などの公共交通機関で、ほとんどの人がマスクを着用していたが、パリはそれすらない。いち早く制限を撤廃した英国も同じ状態という。7月に入りバカンスに出かけて人が少なくなったパリは、観光客が目立つようにもなった。今、EU(欧州連合)圏内の移動はほぼ何の制約もなくなり、ワクチンの接種証明も必要ない。人々は夏のバカンスを楽しんでいる。
欧州に滞在中も毎日、東京と横浜の行政から「今日のコロナの感染状況」がメールで送られてくる。欧州と比べると圧倒的に少ない感染者数と死亡率。そのメールが毎日、勤勉に配信されるのを見て、いったい日本はどこに向かおうとしているのかと考えてしまう。
どの段階になったら何をするか、政治家たちは明確な目標を明らかにせず、以前のような何の制約もない日常はいまだ見えない。コロナをきっかけに萎縮した社会と思考回路が、欧州の日常から浮き彫りになる。