都内百貨店の夏物クリアランスセールが7月1日、本格化した。20年は共通の開始日を設けずにブランドや商品領域ごとに分散化したが、6月25日からだった昨年と同様に全館一斉にスタートした。今年は気温上昇に伴って盛夏物の正価販売が上向き、取引先の生産調整や在庫圧縮の影響で、短期集中型の商戦となる見通しだ。
伊勢丹新宿本店は7月5日までの5日間で切り上げる。6日以降のセール品はECへ移行する。初日は開店前に2120人(昨年1480人)が並んだ。かつてのように、開店前の長い行列や売り場に殺到してまとめ買いする光景はなくなった。
セールの比重が下がり、その分をプロパーで補う傾向はコロナ禍前からあったが、加速している。伊勢丹新宿本店の売り上げ構成はセール45%、プロパー55%で、初日にもかかわらず、プロパーがセールを逆転した。正価の限定品や通勤、旅行の外出用途に合わせた新鮮な盛夏アイテムの売れ行きが良かった。
セール期でも、価値と価格のバランスが合えば購入に結び付く。衣料品の不振は、適時、適品、適価の「基本的な品揃え」ができていないことの表れだ。一方で、「歳時記イベントとして重要なのは変わらない。我々の都合で日程を早めたり、遅くした百貨店側の責任がある」(三越伊勢丹)とセールの様変わりを指摘する。