《めてみみ》10万円給付の混乱

2021/12/16 06:24 更新


 「また、同じことを繰り返すのか」。こう感じた人々は多いだろう。18歳以下の子供に10万円を給付する政府方針の大幅な転換についてだ。

 政府は当初、今年度予算の予備費を使って年内に現金5万円を給付し、開会中の臨時国会で提出している補正予算からクーポン5万円分を支給する方針だった。しかし、自治体からの反発が多く、クーポン給付に関わる巨額な事務経費が問題となり、「全額現金支給も容認」に一転した。

 これを見て、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置に伴った大規模商業施設に対する協力金のことを思い出した。政府の方針と実際に事業者に支給する自治体の方針が一部異なり、特に百貨店と取引する店舗への支給で自治体による違いが生じかねなかった。

 10万円給付、大規模施設協力金ともに、国が自治体に支給する交付金から支出される。国が制度設計し、自治体が運用する。地域の特性に合わせるため、一定の裁量は自治体に与えられるが、国の方針と制度設計が明確でなければ、混乱する。

 10万円給付を巡る混乱の要因は制度設計があいまいで、二転三転した大規模施設協力金と構造的に同じだ。岸田文雄首相は「様々な声をしっかり受け止めた結果」と言うが、国の不明確な方針が混乱と反発を招いていることを「受け止め」、今後の政策に生かしてほしい。



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