政府は12月21日まで開く予定の臨時国会で、今年度補正予算案の成立を目指している。財政支出は35兆9000億円で、補正予算としては過去最大の規模だ。
これだけ巨額の予算を短期間で審議することに疑問を感じる。もともと、通常国会で約3カ月間審議される当初予算に比べて、補正予算の審議期間は短い。政府・与党にとっては野党が反発する時間が少ない分、好都合だ。緊急性を要する施策を迅速に行うには短い方が良いが、「短い分、案が通りやすい」という政府・与党の思惑もあるようだ。
年度内に当初予算では対応できなかったり、足りなかった政策を補完するのが本来の姿なのに、それが「膨張」している。経済産業省は来年度当初予算の概算要求額約1兆4000億円に対し、今年度補正予算案で約5兆4300億円を計上した。
そこには、コロナ禍で業績が悪化している事業者に対する給付金「事業復活支援金」2兆8000億円などすぐに実施すべき施策もある。一方、「本当に年度内に必要なのか」と感じるものもある。
言うまでもなく、巨額の予算には国民の税金が使われる。経産省以外の施策も含め、ファッションビジネス業界に大いに関係する予算も多い。限られた財源を業界や消費者のために有効活用するために、国の予算にもっと目を光らせなければならない。