暦の上では立冬を過ぎ、やっと冷たい風が吹くようになった。先週末に訪れた北関東の高原では、すっかり木々が色づいていた。
本格的な冬を前に、冬物商戦が本格化している。セレクトショップが軒を連ねる都内の商業施設では、ダウンジャケットのフェアが開催されていた。冬物商戦と言えばコートが中心だが、軽くてコンパクトにもなり保温性も高いダウンジャケットは、冬の気温差に左右されるコートに比べて売りやすい。
ダウンジャケットというアイテムが生まれたのは20世紀に入ってからのこと。36年にエディーバウアー氏によって開発されたとされる。エディーバウアーが特許を取得したダウンジャケットは、70年代の米国のヘビーデューティーブームに乗って認知された。以来、欧米のスキーブランドによって開発が進み、今では「カナダグース」「モンクレール」が代表的なブランドになった。
そのパイオニアだったエディーバウアーが日本撤退を発表した。コロナ下の業績不振もあるだろうが、アウトドアブームの中の撤退は残念だ。ダウンジャケット発祥のブランドから、幅広い客層のためのレジャーカジュアルブランドへの展開を消費者はどう見たのだろう。ブランドの強みや個性を市場性と、どうすり合わせていくのか。そのバランス感が、どのブランドにも問われている。