《めてみみ》混乱の根本要因

2021/08/19 06:25 更新


 緊急事態宣言などに伴う休業・営業時間短縮要請に応じた大型商業施設と出店者への国の協力金が、百貨店と消化仕入れ契約などを結ぶ店舗(特定百貨店店舗)にも要件を満たせば、百貨店を通じて支払われることがようやく明確になった。6月4日に政府が都道府県に出した事務連絡文書では行政が百貨店に支給する特定百貨店分の協力金が最終的に「支払われることを想定」としていたが、7月28日に国の地方創生臨時交付金のホームページ上で、「最終的に店子(特定百貨店店舗)に支払うことになる」と断言した。

 6月4日時点で、国は協力金は特定百貨店店舗に支給する方針だった。しかし、「想定」というあいまいな表現と説明不足が混乱を招いた。

 大きな理由は、百貨店に支給される特定百貨店店舗分の協力金が課税されるか否か決まっていなかったため。「預り金として経理処理した場合は非課税とする」ことがやっと決まり、7月28日に記載された。

 それにしても、行政の対応が遅い。国が方針を明確にしたのは大阪府の第1期申請締め切りの7月30日の直前だ。課税の扱いがなかなか決定しなかったのは内閣府と国税庁などとの調整に時間をとられたためと見られる。

 あいまいな表現、説明不足、「縦割り」による対応の遅れ。今回の混乱は行政の構造的問題を浮き彫りにした。



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