日本ショッピングセンター協会の調査によると、今年1~6月に開業したSCは11施設で、前年同期に比べて半減した。今年1年間の開業予定数は28で、昨年の41を大きく下回る見通しだ。東日本大震災の影響で開発が鈍化した12年の35も下回って、過去最少となる。
SC開発は増減を繰り返しながらも、15年までは拡大傾向だった。しかし、その翌年から鈍化し、閉鎖した施設が増えたため、19年から2年連続でSC総数が前年に比べて減少した。
ECの浸透や競争の激化などを背景に、拡大基調だったSC市場は数年前から大きな転換期に入っていた。今年の開業数が大幅に減少するのはコロナ禍でテナントリーシングが難しくなり、時期を延期するケースが増えたためと見られるが、ここ数年の構造変化が加速していると捉えるべきだろう。
ただし、SCの役割が低下したわけではない。コロナ下でECが拡大する一方で、SCのリアルな場としての体験価値を改めて評価する消費者も多い。地域のSCの多くは、地元住民の日々の暮らしを支えるインフラとしての機能を発揮している。
来年以降も開業数は鈍化傾向と見られるが、大都市の大型複合施設を中心に有力物件の開発が今後数年で相次ぐ。コロナ下の生活・行動様式に対応した施設も増えるだろう。新しい時代のSCの役割に期待したい。