《めてみみ》営業再開と動揺と

2021/05/18 06:24 更新


 都内百貨店の営業再開が相次いでいる。緊急事態宣言が延長した5月12日から高島屋は都内4店舗で宝飾品、アクセサリーなど一部を除いて大部分の売り場の営業を始めた。他の百貨店は食品、化粧品、服飾雑貨、リビングなど一部の生活必需品にとどまっていたが、衣料品を含むほぼ全売り場の営業再開に転じた。

 そごう・西武の都内2店が14日から、三越伊勢丹の都内4店、松屋銀座本店が15日から、大丸松坂屋百貨店の都内2店が16日から、営業を拡大した。「衣料品の営業再開は夏物などを求めるお客様の要望が強い」(三越伊勢丹)という。

 休業の長期化は経営への打撃が大きい。三越伊勢丹は4月25日~5月31日の休業で、売上高290億円、営業利益37億円の減少を想定する。取引先は「百貨店が開けてくれるだけでありがたい」(大手アパレルメーカー)などほとんどが営業再開を歓迎する。

 百貨店の動きに、東京都は反発している。日本百貨店協会に対して、高額品は生活必需品にあたらないと休業の徹底を改めて要望した。現場ではこの週末、「開けた売り場が再び閉まるかもしれない」と動揺が広がっている。昨年に次ぐ休業で、2年続けて春夏物の販売機会が消失した。今秋冬物の発注キャンセルの動きもあり、衣料品業界に与えるダメージは深刻さを増している。

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