数字を見て、改めて驚いた。経済産業省の20年度予算は3度にわたる補正予算と、予備費を合わせて約24兆7000億円に達した。19年度予算総額の約9.1倍だ。
補正予算の大半は新型コロナウイルス対策。金融機関による実質無利子・無担保融資など資金繰り支援策で約9兆円、中堅・中小事業者向けの持続化給付金で約5兆2000億円、家賃支援給付金で約2兆円を計上した。厚生労働省所管の雇用調整助成金や自治体独自の支援金などを含め、行政による事業者向け支援策を繊維・ファッション企業の多くが活用した。しかし、持続化給付金と家賃支援給付金に対して「給付額が少ない上、1回だけの給付では不十分」との声もあり、支援策に不満を持つ事業者も多かった。
新型コロナの感染拡大が止まらない。大阪府は緊急事態宣言の発出を政府に要請し、東京都も同様の方針。いずれも、飲食店以外の店舗への休業要請を含め、2回目の緊急事態宣言時よりも強い対策を求める。
休業要請が出されれば、事業者に対する補償や支援策が必要不可欠となる。そもそも、現状でもコロナ禍で苦しむ事業者は多い。持続化給付金と家賃支援給付金は既に事業が終了した。政府は前年度の巨額な予算が有効活用されたかどうかを検証しながら、さらなる支援策を早く決め、実行すべきだ。