《めてみみ》挑戦できる企業風土

2021/03/23 06:24 更新


 大手百貨店で社内ベンチャーによる新規事業開発が相次ぐ。以前から業務改善や新規事業のアイデアを募集し、起業を育成・支援する制度はあったが、事業化までに至る例が少なかった。コロナ禍で、事業ポートフォリオそのものを変え、百貨店以外の領域の拡大が迫られたことが後押しする。

 三越伊勢丹は社内だけでなく、社外含めてアイデアを募集し、新たな顧客ニーズに対応した事業創出を目指す「アクセラレータープログラム」を制度化している。大丸松坂屋百貨店は全社を対象にした公募制度による「発明アワード」、高島屋は「フューチャープランニング」という起業提案制度を17年度に発足した。

 その一つが三越伊勢丹のVR(仮想現実)を活用したスマートフォンアプリ、大丸松坂屋百貨店の婦人服のサブスクリプション(定額利用)だ。高島屋が20年8月に始めた靴磨き事業も、社内ベンチャーとして紳士靴バイヤー経験者が起業した。

 百貨店は保守的で、新規事業創出に対して時間をかけ過ぎて商機を逸してしまいがちだった。新規事業開発で大事なのは、スピードと一定のリスクヘッジをした上で失敗を恐れずに挑戦できる環境を作り上げることにある。人事制度を含めた評価の在り方を含め、一人ひとりが何ができるかを考え、チャレンジできる企業風土改革につなげたい。



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