日本ショッピングセンター協会によると、今年の国内のSC総数は前年を下回った。2年連続だ。40施設が開業した一方、業態変更や大型改装に伴う一時休館を含め、42施設が閉館した。
百貨店などに比べ、SCは順調に市場を拡大してきた。しかし、ここ数年はECの拡大や競合激化、消費者のニーズの変化、多くのSCの主力分野である衣料品消費の長引く低迷などで全体として伸び悩み、施設間の格差がさらに広がった。昨年に転換期に本格的に入り、今年は新型コロナウイルスが厳しさに追い打ちをかけ、課題も顕在化した。
しかし、今年は未曽有の厳しさの中でも今後のヒントとなる材料はあった。多くの企業が「新しい生活様式」に対応して、オンラインを活用した新たな顧客アプローチに挑戦した。テナントの販売支援策として、ライブコマースを始めた施設も相次いだ。成果を上げた施設も多い。
一方で、コロナ下でも「リアルならではの価値」を求める消費者は多いことも明確になった。施設作りで「滞在」「体験」機能を打ち出したり、テナントと連携して商品や店作りで独自性を発揮したところは、来街者の減少で特に苦戦する大都市中心部でも健闘した。
コロナ下での各社の懸命な取り組みはアフターコロナで必ず生きる。今は次に向かって種をまき、足場を固める時期だ。