《めてみみ》観察と行動と

2020/12/22 06:24 更新


 春物を売るべき4~5月に店舗休業を強いられ、在宅勤務が増えたことでスーツの需要が激減し、気温低下が遅れ、セール間際の12月まで防寒アウターも動かなかった。だから今年は服が売れなかった。そういう感想を持つ企業はファッション業界に多いだろう。

 だが、売れずに苦しんだ企業ばかりではない。ルームウェアの「ジェラートピケ」は店舗休業中、SNSを駆使した販促を仕掛け、店頭の販売員が積極的に情報発信を続け、EC専用商品も急きょ増やし、結果4~7月の販売は前年実績をクリアした。

 大手ではユニクロが店舗を再開した6~11月の既存店売上高が前年実績を上回った。マスクを作り、人気アニメやアーティストとの協業商品を出し、11年ぶりに「+J」も発売するなど話題性のある商品を連打し、店に来る理由や買いたい気持ちを喚起し続けたからだ。

 ワークマンも一般客向けの「ワークマンプラス」が好調で、11月まで37カ月連続で既存店売上高を伸ばした。「過酷ファッションショー」「#ワークマン女子」など話題を作り、主力の郊外店に新規客が詰めかけた。

 家ナカ、人気コンテンツ、郊外、いずれもコロナ下で浮かび上がったキーワードに沿った提案が実った。ライフスタイルの変化をつぶさに観察していれば、厳しい市場で次に何をすべきかは見えるはずだ。



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