コロナ禍で、百貨店のビジネスモデルが転換点を迎えている。緊急事態宣言の解除で営業再開して以降、店舗に大勢を集めて売り上げを拡大する従来の商売が出来なくなった。顧客と販売員の距離の確保や店内に多くの人を入れない密回避の措置が新常態となった。
生活者の暮らし方、働き方が変わり、顧客の意識やニーズも大きく変化した。その表れの一つが都心店と地方・郊外店の逆転現象だ。百貨店の中心顧客である高齢者をはじめ、テレワークが続くOLやサラリーマンらが都心を避け、自宅の近くの店舗で買い物する傾向が強まった。
この間の成長を支えていたインバウンド(訪日外国人)需要がなくなった都心店は売り上げの落ち込みが大きく、回復が遅い。一方で、地方・郊外店は「ラグジュアリーブランドなど高額品の売り上げが以前の水準に戻った」という。生鮮品など食料品や子供用品、リビング用品なども堅調だ。
高島屋は福袋を初売りの1月2日と3日に販売しない。4日以降に予約販売し、年内の購入もできるようにする。3密を緩和する狙いだ。集客の目玉だった様々なイベントは縮小や来場者の人数制限など感染対策が優先されている。
集客の機能はデジタルの併用で、維持することになる。もっともリアル店舗を磨き上げることなしに、オンラインでの競争力はない。