《めてみみ》「など」による混乱

2020/10/08 06:24 更新


 記事で「など」を使ってしまうことがある。多くの事例がありながら、絞り込んで書かなければならない際に便利だからだ。ただし、「など」に何が含まれるのかが明確でないため、具体性が求められる新聞記事で使うのは好ましくない。

 役所の文書でも「など」が多い。政府の観光需要喚起策「Go Toトラベル」で、10月1日に配布が始まった「地域共通クーポン」の資料では利用可能店舗を「土産物店、飲食店等(など)のほか、観光施設、アクティビティ、交通機関等を含む」とある。

 後のページに対象にならない商品とサービスが記載されているとはいえ、わかりにくい。条件を満たせば、百貨店やファッション小売業でも対象になると理解している業界関係者は少ないようだ。役所の文書の「など」は誤解と混乱も招いている。

 業界にファッション商品が対象業種であることが周知されていないのは、「など」の具体的な中身を政府がしっかり説明していないからだ。業界を所管する経済産業省は、Go Toトラベルが国土交通省の担当のためか、この件を業界団体には現時点で通知していないようだ。

 Go Toキャンペーン全体に投じる約1兆7000億円の予算を無駄にせず、経済再生へ効果を発揮させるためにも、「など」に含む業種に対する事業の周知をしていくべきだ。



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