新型コロナウイルス感染の影響で商社のファッションアパレルOEM(相手先ブランドによる生産)が苦戦している。業績を下支えするのは、マスクや医療用の防護服、ガウンといったコロナ関連商材だ。
「手広く商売していることで、国や自治体、医療機関などから様々な要望が寄せられた」とある商社の幹部。医療用ガウンやマスクは従来は生産しておらず、「当社で受けきれるのか」というほどの発注量だったが、各部署や中国の現地法人などが素早く連携して調達、生産ルートを確保し、納品した。中国などでの取引先との関係が生きた。
素早く動けたのは、進めてきた「部署を越えた連携」の成果に若手の行動力が加わったこともある。別の商社は様々な部署や役職、世代を集めたプロジェクトチームを複数設置。それぞれの商材や商流を融合し、コロナ需要をつかんだ。
長年のテーマだった部署間の連携、連動がコロナ禍を機に一気に進んだ。こうした事例の積み上げが社の風土を変えていく。
今回の素早い対応で「さすが商社、とたくさんの人が喜んでくれた」との声を多く聞いた。喜んでもらえたことのうれしさは大きく、自分たちの仕事が社会や人の役に立っていると実感したそうだ。困りごとがあふれている今こそ、社員の力を含めた自社の資産、問題解決能力が生きてくる。