《めてみみ》アンテナと行動力

2020/09/10 06:24 更新


 巨大な新自由貿易圏構想が近々実現しそうだ。RCEP(東アジア地域包括的経済連携)の交渉参加国である東南アジア諸国連合10カ国と日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドは8月末に閣僚会合を開催。11月の首脳会議での協定署名を目指す。12年から交渉を続け、昨年にも署名する見通しだったがインドが離脱を表明、残る15カ国で協議を続ける。

 コロナ禍で販売計画が立てにくいため、アパレルや小売りからの小ロット、QRニーズは強く、衣料品生産の「中国回帰」の動きが見られる。RCEPが発効すればさらに強まりそうだ。一方で欧米企業からは中国のカントリーリスクを考慮し、「中国以外で作りたい」との要望が増えている。市場をグローバルに広げようとするとサプライチェーンの多様化、分散化は避けては通れない。

 国境紛争地帯で中国とインドの衝突が続く。これを背景に、あるタイの日系商社には、資材関連でインド企業から「中国品ではなくタイから調達したい」との要望が持ち込まれた。「簡単ではないが利益が取れそうなら進めたい」と期待する。

 自由貿易圏の拡大、貿易戦争、コロナ禍。世界情勢が刻々と変化する中で需要が変わり、それに応じて商流も変わる。どこに商機があるか。アンテナの精度と行動力が生きる時流になっている。



この記事に関連する記事