《めてみみ》伊400

2020/08/14 06:24 更新


 NHKのテレビ番組で旧日本海軍の潜水艦「伊400」が紹介された。内部に航空機まで搭載した巨艦で、米国本土などの攻撃を目的としたという。全長122メートル、原子力潜水艦を除けば、つい最近まで世界最大だった。特攻を命じられるが、直前に終戦を迎えた。

 その艦内にいた1人が、今春に亡くなられたイズミ創業者の山西義政さん。九死に一生を得て帰国するが、郷里の広島は原爆で焼け野原。何とか生きる道を探すなかで、戦友の実家が干し柿を作っていたことを思い出す。その干し柿を仕入れ、戦後の闇市で戸板に並べて売ったのがイズミの第一歩となった。

 明日は75回目の終戦記念日。20歳前後で戦地を実体験した存命者も90代半ばだ。親の苦労や経験を直接見聞きしてきた世代でさえ、大半が60代以上になる。戦争の記憶と共に、日本を復興に導いた人たちの思いも少しずつ歴史の中に埋もれていく。

 とはいえ、感傷に浸っている時間はない。コロナ禍はいまだ終息の兆しを見せず、これから来る新しい時代の姿は見えない。政治、経済、文化、人々の価値観、国際関係など、これまで当たり前だったことが180度変わる覚悟も必要。難局を乗り切ることは容易ではないが、75年前の夏に比べれば、はるかに恵まれた時代にいる。悲観することなく前を向いて進みたいものだ。


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