《めてみみ》加速のきっかけ

2020/06/16 06:24 更新


 インディテックスが全世界の店舗の13~16%に相当する1000~1200店を今後2年で閉店する。一方で、デジタル戦略を加速し、22年までに売上高に占めるEC比率を現状の14%から25%まで高めるという。

 多くの店が休業を強いられた同社の第1四半期(2~4月)は4割減収となり、純損益も赤字だった。業績開示と同時に大量閉店とEC強化の経営判断が発表されたが、コロナ禍を機に店は減らしてECにシフトするというわけではない。

 目抜き通りの大型店に経営資源を集中して店を常にアップデートすることで1店当たりの売上高を高め、役割を終えた古い店や効率の悪い店は減らすのが同社の基本戦略。「ザラ」を筆頭に店舗の増床、好立地への移転を進めていた。

 ECに関しても多額の投資を実施し、18年にはザラのECプラットフォームを刷新した。20年中に自社の全ブランドが世界中どこでもECで買えるようにする計画で、EC購入の商品を実店舗で受け取れる仕組みの導入も急いでいる。

 消費者の買い方の変化に対応したリアルとデジタルの買い物体験の融合は、大手ファッション小売りが避けて通れない課題。同様の動きは競合するユニクロやH&Mにも見られる。今回の事態を機に取り組みのスピードが上がっただけで、やるべきことが変わったわけではない。



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