緊急事態宣言が延長され、首都圏は百貨店の臨時休業が継続している。1カ月超の休業で、改めて社員の働き方が問われると同時に、会社のICT(情報通信技術)を利用するための基盤整備の遅れが浮き彫りになった。
4月8日から全館休業した三越伊勢丹で、ある中堅社員は「会社からは店が開くまで出社しないようにと言われた」と自嘲気味に話す。取引先との商談や社内資料作りなど仕事が山積しているのに、中断せざるを得ないからだ。在宅などでリモートワークができそうに思えるが、「全く出来ない」という。
百貨店の社内ネットワークは顧客情報を扱うため、様々なセキュリティー対策を施している。社内データの持ち出しはもちろん、外にいて社内ネットワークに入ることは難しいシステム設計。ルーターの貸し出しが制限され、VPN(仮想専用線)や業務に応じた細かなアクセス制限の構築も未着手の百貨店がほとんどだ。
前述の社員は「上司からは取引先との連絡は受信だけで、こちらから電話をしないようにとも言われた」。店舗休業中は仕事をするなということに等しい。社内ネットワーク環境は実に「お寒い」現状が露呈した。すでに松屋は全館休業した4月8日以降、一時帰休に移行した。業務量が減ったことに対する措置ならば、その処遇は明確にすべきだ。