《めてみみ》特別な場

2020/01/28 06:24 更新


 伊勢丹時代から長年続いていた丹青会が、会場を都内ホテルから店内へ切り替える。個人外商にとって年間で最も重要な催事で、得意先を招待し、もてなすスタイルで先行・限定商品を内覧してもらう恒例行事だ。新しい伊勢丹ファンを作る機会でもある。

 見直しの理由は費用対効果によるところが大きい。ホテル催事は設営や飲食などの会場費、物流費の負担が少なくない。ホテルという特別感も薄らいでいる。店外開催の費用を店内での新しいコトのイベントやもてなしの強化、拡大に使える。来店してもらい、全店のより多くの商品を紹介できる利点もある。

 一方で、そごう・西武は春、秋の年2回の高輪会に加え、新規のホテル催事を12月に開いた。「日頃の感謝の気持ちを伝えるのが一番の目的」(林拓二そごう・西武社長)という。ホテル催事の効率は必ずしも良くないが、より深掘りすれば新富裕層に向けた次のビジネスの糸口をつかむ機会となると判断した。

 中間層の消費が冷え込む中で、百貨店は富裕層の需要を取り込むことが課題となった。外商担当者は催事を節目に、事前のプレセールによるマーケティングで顧客のニーズをいち早くつかむことが重要な業務の一つだ。店内外を問わず、顧客が特別な場で、特別な商品を、特別なもてなしで買いたいということに変わりない。



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