阪急うめだ本店は約5年前から、夏のセール期に9階の祝祭広場でハワイフェアを開催している。イベント内容が充実してきたこともあり、フェアの売上高は当初に比べて3倍ぐらいに拡大しているという。今夏も多くの人でにぎわっていた。
「セールの集客力が低下している」と言われて久しい。アウトレットやディスカウントストア、低価格SPA(製造小売業)など、いつでも安く購入できる場が増えたことは、間違いなく集客力に影響している。一時期、セールの開始時期が話題となったが、昨今はあまり話題に上らない。時期だけの問題ではないとの認識が広がっているのだろう。
阪急本店はゆかた祭りなどのプロパーイベントを7月にいくつも組み込んでいた。「気温が上がらなくても、客の心を動かすような取り組みをするサマーフェス月間という捉え方をしている」と阪急阪神百貨店の荒木直也社長。「セールがキラーコンテンツとは思っていない」とも。いわばセールもフェスの一環との位置付けだ。
商業施設を運営する側にとって、セールは長い間、強力な集客イベントだった。今は価格訴求だけでは、多様化・成熟化する消費者に対応しきれない。コトを通じてモノを売る。あるいは価格以外の魅力を伝える販売手法を成熟させていくことが求められているのではないか。