百貨店婦人服が長い冬の時代を迎えている。売上高はピークだった98年の2兆2700億円から18年の1兆1300億円へ半減した。婦人服の構成比率は20%割れまで落ち込んだ。
NBを中心にブランドの統廃合、在庫低減による生産調整の影響があるとはいえ、顧客のニーズや買い方の変化に対応できていない表れだ。ECの台頭や2次流通、シェアリングの広がりは従来の百貨店のビジネスモデルの根本からの見直しを迫る。
「百貨店が大手アパレルメーカーに頼りすぎたことで互いに疲弊した」(村田善郎高島屋社長)。8割を占める消化仕入れは取引先への過度な依存を生んだ。モノが売れなくなった時代に小売りが在庫のリスクを全く負わない取引形態は通用しない。
大丸松坂屋百貨店は17年からの5年間で婦人服売り場を3割圧縮する。化粧品や時計・宝飾品など成長領域を拡大、ライフスタイル型へ進んでいる。「その先は減らすのか、維持するのかは決めかねている」(好本達也大丸松坂屋百貨店社長)という。
百貨店は減収のたびに値入れ率の引き上げ交渉を繰り返してきた。その結果が原価率を10~15%に抑えて大量生産し、消化率が5割に満たない今の悪循環を生み出した。取引先は既に掛け率の引き下げに応じる体力は残っていない。サプライチェーンは存亡の危機にある。