《めてみみ》灯台を建てる

2019/04/16 06:24 更新


 「ジョルジオ・アルマーニ」が東京・銀座に旗艦店を出した際、来日したジョルジオ・アルマーニさんに、銀座に大きな店を構える理由を聞いたことがある。答えは「たくさんのブランドが集まる銀座に店を持つのは、灯台を建てるのと同じ意味がある」だった。

 4日にオープンした無印良品の銀座店を見て、10年以上前に聞いた言葉を思い出した。3981平方メートルの店舗面積は世界最大。ホテルも併設し、地下にはレストラン、1階には早朝営業する食品売り場もある。何より目を引いたのは服や雑貨の売り場だ。

 フルラインの商品はちゃんとあるが、陳列はTシャツや靴下など日常的なアイテムの色数をわざと抑え、什器にみっちり並べてボリュームを出した。主力のベーシックな商品が来店客の目に焼きつくように考えたそうだ。

 国内外の有力ブランドの店が林立する銀座で、あえて日常に使う普段着や生活雑貨をこんな風に訴求する理由を良品計画の松﨑暁社長は「生活で頻繁に使う商品を買い替える時、最初に思い浮かぶブランドを無印良品にしたいから」と説明する。

 売り場作りと商品の見せ方に込めた工夫が奏功してか、オープン直後から想定以上の来店客数と売り上げという。生活の基本となる商品を売る店にとっても、銀座の店はブランドの灯台として役割を果たしているようだ。



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